小川会計コラム 2021年4月23日

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【今回のコラム】

控除可能期間が13年に延長令和3年度住宅ローン控除の改正

2021年4月19日(月)

対コロナの限定延長が全体に適用へ

令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用になりました。この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月~3年9月に契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月~3年11月に契約したもので、4年12月までに入居した住宅が対象です。

今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13年間の控除が受けられます。

新設された40平方メートルのルール

さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。

この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。分譲マンション等の場合、インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メートルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。

控除率1%が問題視されている?

今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。

家は大きな買い物で、適用される制度も多い。すまい給付金や贈与税非課税措置なんかも調べておこう。

雇用調整助成金特例措置の今後は?

2021年4月20日(火)

一律支援から転換へ

厚生労働省は休業手当を支払う企業支援の雇用調整助成金(雇調金)の特例措置を、5月以降は一律支給でなく経営状態や新型コロナウィルスの感染状況で差をつけると発表しました。現行の特例を一律で適用するのは4月末までとなります。

雇調金は昨年春以降特例措置を何度も延長してきました。現行では1人当たりの上限額は1日15,000円。助成率(労働者に支払う休業手当に占める助成金の割合)は最大100%ですが、今年の5月からは支給基準を満たした企業以外は上限額1日当たり13,500円、助成率は90%になります。

直近3か月の売上高などの生産指標が30%以上減少している経営難企業、「まん延防止等重点措置」が適用になる地域は5月以降も現行措置を続けられます。

また、休業手当を受けていない非正規労働者に対する休業支援金も5月から支給内容が変更されます。現行は休業前賃金の80%で上限11,000円が9,900円になります。

人材の移動やデジタル時代教育訓練の提唱

現行制度を一律で適用するのは4月までですが、必要以上に休業支援を続けると経済上の問題や人材の移動に悪影響を与えると言われています。

日本総合研究所では「雇用維持策は短期的には必要だが長期化すると経済全体の活力や新しい産業育成の阻害要因になる。新しい産業に人が移動できるよう労働政策を変えていくことが重要」と話しています。このことの背景には財政の厳しさもあります。雇用調整助成金の独自の積立金はすでになく、失業手当等に使う雇用保険の積立金を2兆円規模で借り入れをして、賄っている状態です。企業や労働者が払う保険料の引き上げは今年度はありませんでしたが、今後はあるかもしれません。

今後は新産業の育成の方向へ

雇用以外の分野でも支援の重点化は進みつつあります。中小企業に最大200万円を支給する持続化給付金とテナント賃料を補う家賃支援給付金は3月下旬までに約5.5兆円が給付済で、当面の支えは目的を達成したとされています。今後はコロナ後の社会に合わせた業態転換を促す「事業再構築補助金」の活用で1企業当たり最大1億円を用意し、新しい取り組みを始める中小企業を支援する方向です。

4月16日以降の申告に注意確定申告期限延長申請の変更

2021年4月21日(水)

期限延長申請方法が変わります

令和3年4月15日までの所得税等の確定申告については、例えば令和元年分の申告を今年の3月に提出する場合等であっても、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載する「簡易な延長方法」が認められていましたが、4月16日以降は「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成・提出しなければならないとされました。

令和2年分の確定申告については「換気・消毒・距離確保」といった感染症対策や入場整理券の導入等、税務署としては様々な対策をした上で、さらに4月15日までの申告納付期限の延長を行ったことで「申告期限内に申告できる環境を整備した」と考えているため、これが簡易的な記載で延長を認める特別な措置を終了する理由であると説明しています。

延長申請書の作成・提出

しかしながら依然として新型コロナウイルス感染症は猛威を振るっており、地域によってはまん延防止等重点措置が適用されている場合もあります。本年の申告期限である4月15日を超えても、発症や隔離・医師による高リスクを避けるべく外出を控えるような指示があった等、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に具体的な内容を記載すれば、期限を延長してくれます。延長される日数は「その理由がやんだ日から2か月以内の範囲」となります。申告をしていない場合、税務署からお伺いが来ることもあり、その場合は早期に申請書だけでも提出を、と要請されそうですが、そうでない場合は基本的に申告書提出・納付と同じ日に出しても問題ありません。

なお、この期限延長申請書については、e-Taxでの提出も可能ですが、国税庁が開設している確定申告作成コーナーからは申請することができません。

令和元年分未提出時は要注意!

令和元年分も令和2年分も確定申告を行っていない場合については、「令和元年分を先、もしくは令和2年分と同時に出す」ことを忘れないようにしてください。

先に令和2年分の確定申告書を出してしまうと「令和元年分はやむを得ない理由があったとは原則認められない」という扱いになってしまうため、期限後申告として取り扱われてしまいます。

特別扱いはそろそろ終わり、ということでウィズコロナという単語も現実味を帯びてきましたね。

ポストコロナを踏まえた新たな取組を支援~小規模事業者持続化補助金~

2021年4月22日(木)

小規模事業者持続化補助金

<低感染リスク型ビジネス枠>

小規模事業者が経営計画及び補助事業計画を作成して取り組む、感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させるポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に関する取組を支援するものです。

補助対象者

  • 小規模事業者であること

商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(小規模事業者支援法)に基づき、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか否かを判断しています。

商業・サービス業
5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業
20人以下
製造業その他
20人以下

補助金額等

補助上限
100万円
補 助 率
3/4

感染防止対策費については、補助金総額の1/4(最大25万円)を上限に補助対象経費に計上することが可能です(緊急事態宣言の再発令による特別措置を適用する事業者は政策加点の他、補助金額総額の1/2(最大50万円)に上限を引上げ)。

緊急事態宣言の再発令によって2021年1月~3月のいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者には特例措置があります。また、2021年1月8日以降に発生し発注・契約・納品・支払い・使用が行われた経費について遡及適用が可能です。

2021(令和3)年度は下記の日程で受け付けています。

第1回受付締切
2021年 5月12日(水)
第2回受付締切
2021年 7月 7日(水)
第3回受付締切
2021年 9月 8日(水)
第4回受付締切
2021年 11月10日(水)
第5回受付締切
2022年 1月12日(水)
第6回受付締切
2022年 3月 9日(水)

(日程は予定・いずれも17時締切り)

  • 申請は、補助金申請システム(jGrants)でのみ受け付けます。本補助金の申請には、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。

労災保険特別加入の対象拡大

2021年4月23日(金)

新たに3業種が追加

労災保険は事業に雇用されている労働者の業務上のけがや傷病を補償するものですが、災害発生状況の多い個人事業主に対しても加入が認められている特別加入制度があります。現在は中小企業事業主、建設業の一人親方、農林漁業の従事者、海外派遣者、個人タクシー業者、個人貨物運送業者等が特別加入の対象者ですが、4月1日より対象範囲が拡大されることになりました。

新たに対象となる業種

  1. 芸能従事者……テレビや映画、舞台の俳優・監督・演出家・スタッフ・音楽家等。芸能従事者は業務上のけがや事故が多いことから特別加入の対象になることを強く希望していました。長年の議論によって認められることとなりました。
  2. アニメ―ション制作従事者(アニメーター)……時代とともにアニメーション制作も増え、雇用されていない制作者が多くいることから対象となりました。
  3. 柔道整復師

厚労省ではこれら3業種の就労者は約29万人いるとみて、約1万5000人の加入を想定しているとのことです。

創業支援等措置の高齢者も加入可能に

労災保険の特別加入の対象拡大は4月1日施行の高年齢雇用安定法改正(70歳までの雇用努力義務)によって新設された創業支援等措置の対象者にも適用されることになりました。

創業支援等措置は65歳から70歳までの労働者の就業機会を確保するための高齢者就業確保措置の1つで、雇用にはよらないため業務委託契約を締結する必要があります。企業側も措置の実施に関する計画書の作成、労働者代表者との同意が必要になります。

特別加入をするには

労災保険の特別加入はそれぞれの業種の特別加入団体(中小企業は事務処理を委託する労働保険事務組合)を通じて所轄の労働基準監督署に手続きを行うことで補償を受けることができます。新しい業種の加入希望者は既存の団体に加入するか、新たに特別加入団体を設立することになります。